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人工単価の計算方法給与を日数で割ると小さく出る理由

公開 2026.10.18原価と利益株式会社Retona 解体BASE編集部

原価管理人工単価法定福利費社会保険

人工単価の計算方法 給与を日数で割ると小さく出る理由

この記事でわかること

想定読者
解体工事会社の経営者と、原価の単価表を作る事務担当
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当社が解体工事会社の方から話を伺うと、職人に払っている日当をそのまま人工単価にしている例が最も多く見られます。月給制の職人であれば、月給を出勤日数で割って日当に直す方法もあります。どちらも給与明細からすぐに出せる数字です。

ただ、こうして出した単価は、その職人を1日雇うために会社が実際に負担している額より、3割ほど低くなります。社会保険料の会社負担分が入っておらず、有給休暇や雨で現場が止まった日の給与も計算から漏れているためです。単価が低いまま原価を計算すると、案件の粗利は実際より良く見えてしまいます。

2026年度の保険料率を使って、職人1人分の単価を実際に計算してみます。

人工単価の考え方

人工単価は、次の式で求めます。

その職人のために1年間に会社が負担した額 ÷ その職人が1年間に現場に出た日数

給与を出勤日数で割る方法との違いを、表にまとめました。

日当・給与 ÷ 出勤日数 人工単価
割られる額給与・賞与給与・賞与に、法定福利費の会社負担分と、作業服や健康診断などの費用を加えた額
割る日数出勤する予定の日数実際に現場に出た日数(有給休暇や、雨などで現場に出なかった日を除く)

割られる額は大きくなり、割る日数は少なくなるため、単価は給与ベースの計算より高くなります。

国土交通省の示す「日当100に対して148」

公共工事の積算に使われる公共工事設計労務単価は、2026年3月から全国全職種の平均で25,834円となりました。引き上げは14年連続です。

国土交通省は、この単価について発表資料の冒頭で次のように明記しています。

公共工事設計労務単価には、事業主が負担すべき人件費(必要経費分)は含まれていません。

含まれていない費用として挙げられているのは、法定福利費(事業主負担分)、研修訓練の費用、現場管理費、一般管理費などです。同じ資料には、労務単価と、会社が雇用のために負担する経費の関係も示されています。

金額 割合
公共工事設計労務単価(全国全職種平均)25,834円100%
法定福利費(事業主負担分)・労務管理費など7,492円29%
安全管理費・宿舎費・送迎費など、現場作業にかかる経費4,909円19%
事業主が労働者1人を雇用するのに必要な経費38,234円148%

職人に支払う日当を100とすると、会社の負担は148になるという計算です。日当や給与日額をそのまま人工単価にしている場合、この48%分が原価に入っていないことになります。48%には現場作業にかかる経費の19%も含まれており、人工単価に入れるのは法定福利費などの29%の側です。

法定福利費の会社負担は、給与の15%を超える

2026年度の保険料率で、会社が負担する法定福利費を計算すると次のとおりです。協会けんぽに加入している福島県の会社を例にしています。

保険 2026年度の料率 会社の負担 前年度からの変更
厚生年金保険18.3%9.15%変更なし
健康保険(協会けんぽ・福島県)9.50%4.75%全国平均は10.00%から9.90%に引き下げ
介護保険(40〜64歳のみ)1.62%0.81%1.59%から引き上げ
子ども・子育て支援金0.23%0.115%2026年4月分から新設
子ども・子育て拠出金0.36%0.36%変更なし(全額を会社が負担)
雇用保険(建設の事業)1.65%1.05%1.1%から引き下げ

会社の負担を合計すると、40歳未満の職人で給与の15.4%、40〜64歳の職人で16.2%になります。

健康保険料率は都道府県ごとに異なり、2026年度は新潟県の9.21%が最も低く、佐賀県の10.55%が最も高くなっています。ただ、会社負担の合計にすると、40歳未満の場合で15.3%から16.0%の範囲です。所在地にかかわらず、給与の15%を超える額が上乗せされると考えて差し支えありません。

なお、雇用保険の料率は建設の事業だけ高く設定されています。2026年度の会社負担は、一般の事業が0.85%、建設の事業が1.05%です。

2026年度の料率改定の影響

2026年度は、健康保険(全国平均)と雇用保険の会社負担がそれぞれ0.05ポイント下がった一方、子ども・子育て支援金で0.115ポイント増えました。合計するとほとんど変わっていません。

一方で、設計労務単価は前年度から4.5%上がっています。法定福利費は給与に比例して増えるため、昇給したときは人工単価もあわせて見直す必要があります。

建設国保に加入している場合

解体工事会社の中には、協会けんぽではなく、建設業の国民健康保険組合(建設国保)に加入している会社もあります。この場合、健康保険の部分は組合の料率に置き換えて計算します。

建設国保は会社負担がないと言われることがありますが、組合によって異なります。たとえば全国土木建築国民健康保険組合の2026年4月からの料率は次のとおりで、会社の負担のほうが本人より大きく設定されています。

医療分 後期高齢者支援金分 子ども・子育て支援金分 計
本人3.1%0.8%0.115%4.015%
会社4.1%1.1%0.115%5.315%

協会けんぽ(福島県)の健康保険と子ども・子育て支援金の会社負担は、合わせて4.865%です。この組合に加入している場合は、それより会社の負担が大きくなります。加入している組合の保険料額表にある「事業主負担」の欄で、実際の料率を確認できます。

労災保険料は人工単価に含めない

労災保険料も会社が全額を負担しますが、人工単価には含めず、案件ごとの経費として計上します。

建設工事の労災保険には、現場ごとに元請がまとめて加入する仕組みがあり(労働保険徴収法 第8条)、下請の職人も元請の保険の対象になります。保険料は職人の給与からではなく、工事の請負金額から計算します。

請負金額 × 労務費率 23% × 労災保険率 15/1000

これは解体工事(労災保険率適用事業細目表の3716「工作物の解体事業」)の場合の計算式です。労務費率は、請負金額のうち賃金とみなす割合で、解体工事は23%です。たとえば1,000万円の解体工事を元請として受注した場合、労災保険料は34,500円になります。

この保険料は、工事ごとにかかるものです。人工単価に含めてしまうと、下請として入った現場の原価にも労災保険料が加わってしまうため、元請として受注した案件の経費として別に計上します。

給与と法定福利費以外の費用

ほかにも、職人を雇用していることで発生する費用があります。

1件ごとの金額は小さくても、1年分を合計すると無視できない額になります。年間の合計額を計算に加えます。

割る日数は「現場に出た日数」にする

単価の計算でもう一つ見落とされやすいのが、割る日数です。

会社は、有給休暇の日や、雨で現場が止まった日、次の現場が始まるまでの空いた日にも給与を支払っています。ところが、その日の給与はどの案件の原価にも入りません。出勤予定日数で割る計算では、この分が計算から漏れてしまいます。

実際に現場に出た日数で割れば、現場に出なかった日の給与も、現場に出た日の単価に含めて回収できます。

有給休暇の付与日数は労働基準法第39条で定められており、勤続6か月で10日、6年6か月以上で20日です。年10日以上付与される人には、そのうち5日を取得させることが会社に義務づけられています。

差し引く日数 調べ方
年間休日就業規則で定めた日数
有給休暇その人の付与日数(最低5日は取得)
雨などで現場に出なかった日前年の日報で数える
次の現場までの空いた日前年の日報で数える

最も正確なのは、前年1年分の日報から、その職人が現場に出た日を数える方法です。

計算例

40歳未満の職人1人を例に計算します。数字は説明のための仮のものです。

条件 値
年間の給与・賞与・手当420万円
加入している健康保険協会けんぽ(福島県)
作業服・健康診断・退職金の積立など年10万円
年間休日105日
有給休暇10日
雨などで現場に出なかった日15日

給与を出勤予定日数で割ると、次のようになります。

420万円 ÷ 260日(365日 − 年間休日105日)= 約16,200円

一方、会社の負担を合計して、現場に出た日数で割ると次のようになります。

会社の負担 金額
給与・賞与・手当420.0万円
法定福利費の会社負担(15.4%)64.8万円
作業服・健康診断・退職金の積立など10.0万円
合計494.8万円
494.8万円 ÷ 235日(260日 − 有給休暇10日 − 現場に出なかった日15日)= 約21,100円

同じ職人でも、1人工あたり約4,900円、率にして3割の差があります。年間235人工とすると、職人1人あたり約115万円が原価に計上されていなかったことになります。

なお、この計算では標準報酬月額の等級や厚生年金保険料の上限を考慮していません。実際の金額とは多少ずれますが、差の大きさを把握する目的であれば十分です。

自社の数字で計算する

職人1人分の数字を入れると、上と同じ計算をその場で行います。

人工単価の計算

職人1人分の数字を入れると、その場で計算します。最初に入っているのは、上の計算例と同じ数字です。入力した数字は、保存も送信もされません。

1年間に会社が負担した額
日数
給与 ÷ 出勤予定日数で出した単価
人工単価(会社の負担 ÷ 現場に出た日数)

解体BASEにこの単価を登録しておくと、事務所で日報を確定するたびに、現場の原価が自動で計上されます。現場の利益が毎日わかる原価管理を、無料で体験する

職種ごとに単価を分ける

人工単価は全員一律にせず、職長・オペレーター・手元など職種ごとに設定するのが実務的です。職種によって給与が違い、法定福利費も給与に比例して変わるためです。

職種 分ける理由
職長給与が高く、段取りなどで現場に出ない日も多い
オペレーター運転手当が付くことが多い。重機の時間単価とは別に設定する
手元人数が多く、労務費全体に占める割合が大きい

代表者や役員が現場に出る日も、人工として計上します。役員報酬は給与とは性格が異なりますが、現場に出た日はその案件のための作業です。計上しないと、代表者が出た現場ほど粗利が良く見えてしまいます。

解体BASEの単価表の画面です。職種別の人工、重機の時間単価、燃料、処分場の品目単価を1か所に持ちます。
解体BASEの単価表の画面です。職種別の人工、重機の時間単価、燃料、処分場の品目単価を1か所に持ちます。

外注の常用単価と比べるときの注意

自社の人工単価が出ると、外注に常用で依頼する場合の単価と比べたくなります。その際は、給与日額を使わず、法定福利費などを含めた人工単価で比べます。外注先の常用単価には、外注先が負担している法定福利費や経費が含まれているためです。

国土交通省は、下請が元請に提出する見積書で、法定福利費を内訳として明示する取り組みを進めています。全国解体工事業団体連合会の標準見積書も、解体工事費と法定福利費(事業主負担分)を分けて記載する形式です。外注先の見積書に法定福利費が別に記載されていれば、自社の単価と条件をそろえて比較できます。

よくある間違い

日当や給与日額をそのまま人工単価にしている

法定福利費の会社負担分が抜けています。2026年度の料率では、給与の15%を超える額です。

出勤予定日数で割っている

有給休暇や、雨などで現場に出なかった日の給与が、どの案件の原価にも入りません。

労災保険料を人工単価に含めている

建設工事の労災保険料は、元請が請負金額をもとに支払うものです。人工単価に含めると、下請として入った現場にも計上されてしまいます。

建設国保だから会社負担はないと考えている

組合によっては会社負担があり、協会けんぽより大きい場合もあります。

昇給しても単価を見直していない

給与が上がれば、法定福利費も同じ割合で増えます。

人工単価を見直す手順

  1. 職種ごとに、前年1年分の給与・賞与・手当を合計する
  2. 法定福利費の会社負担分を加える(協会けんぽなら給与の15%台、建設国保なら組合の料率で計算)
  3. 作業服や健康診断などの費用を加える
  4. 前年の日報から、現場に出た日数を数えて割る
  5. 昇給のたびに見直す

原価管理全体の進め方は、解体工事の原価管理と利益率|利益はどこで消えるのかで解説しています。

根拠にした一次情報

当社が提供する解体工事会社向けのアプリ解体BASEでは、職種ごとの人工単価を単価表に登録しておくと、日報で出勤した職人を選ぶだけで、その日の労務費が案件の原価に計上されます。仕事を受けるたびの手数料は0円、月額30,000円(税抜)です。

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