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解体工事に必要な届出・法定書類の一覧

公開 2026.09.04更新 2026.10.09株式会社Retona 解体BASE編集部

建設リサイクル法石綿届出建築基準法

解体工事に必要な届出・法定書類の一覧

この記事でわかること

想定読者
元請の現場監督、届出の作成と提出を担う事務担当
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解体工事の届出は、何を出すかで迷うものではありません。現場を回している人なら一通り頭に入っています。それでも漏れます。

漏れる理由は、届出ごとに提出者が違い、期限の起点が違い、提出先が違うからです。しかも同じ工事の同じ情報を、様式の数だけ書き写すことになります。

この記事では、まず全体を1枚の表にします。そのうえで、条文にあたって確かめた提出者と期限、現場で実際に落ちる箇所を整理します。数字の根拠は末尾にまとめてあります。

着工前・工事中・完了後の早見表

届出・許可・記録 根拠 出す人 期限 提出先
分別解体等の届出建設リサイクル法10条1項発注者 または 自主施工者着手する日の7日前まで都道府県知事等
建築物除却届建築基準法15条1項除却の工事を施工する者工事前建築主事等を経由して都道府県知事
事前調査結果の報告石綿則4条の2、大気汚染防止法18条の15第6項元請業者 または 自主施工者工事の前(石綿則)/調査後遅滞なく(大気汚染防止法)労働基準監督署長と都道府県知事等
特定粉じん排出等作業の実施の届出大気汚染防止法18条の17第1項発注者 または 自主施工者作業開始の日の14日前まで都道府県知事等
建築物解体等作業届石綿則5条1項事業者あらかじめ所轄労働基準監督署長
建設工事計画届労働安全衛生法88条3項事業者仕事開始の日の14日前まで労働基準監督署長
特定建設作業の実施の届出(騒音)騒音規制法14条1項施工しようとする者作業開始の日の7日前まで市町村長
特定建設作業の実施の届出(振動)振動規制法14条1項施工しようとする者作業開始の日の7日前まで市町村長
道路使用許可道路交通法77条1項工事・作業をする者 または その請負人着工前(許可を受けてから)所轄警察署長
産業廃棄物管理票廃棄物処理法12条の3排出事業者廃棄物の引渡しと同時収集運搬または処分の受託者へ交付
建物の滅失の登記不動産登記法57条表題部所有者 または 所有権の登記名義人滅失の日から1か月以内法務局

道路使用許可だけは届出ではなく許可です。出せば済むものと、下りるのを待つものは、段取りの組み方が変わります。

期限の起点が届出ごとに違う

表の期限の欄を、言葉づかいまで含めて見比べると、起点が揃っていません。

起点の書かれ方 該当する届出
工事に着手する日建設リサイクル法の届出(7日前)
特定粉じん排出等作業の開始の日特定粉じん排出等作業の実施の届出(14日前)
特定建設作業の開始の日騒音・振動の届出(7日前)
仕事の開始の日建設工事計画届(14日前)

足場を組んで仮囲いをした日が着手日で、重機が壁に入る日が特定建設作業の開始日だとすれば、この2つは同じ日ではありません。それぞれの起点から逆算するので、最も早く動かなければならないのは、必ずしも日数の大きい届出とは限りません。

工程が後ろに動いたときも同じです。着手日が3日ずれたから全部3日ずらせる、とはなりません。どの作業がどの起点に紐づいているかを見ないと、間に合っていたはずの届出が間に合わなくなります。

建設リサイクル法の届出を出すのは発注者

条文はこう書いています。

対象建設工事の発注者又は自主施工者は、工事に着手する日の七日前までに、主務省令で定めるところにより、次に掲げる事項を都道府県知事に届け出なければならない。

義務を負っているのは発注者です。元請業者ではありません。実務では元請が委任を受けて代行しますが、代行するには委任状が要ります。

ここが段取りの最初の関門になります。届出そのものは1日で書けても、施主から委任状をもらうのに連絡がつかない、押印をもらう日が読めない、といった事情で数日が飛びます。着手日の7日前という期限は、委任状を取り付けてからの7日ではありません。

対象になる工事の規模は施行令で決まっています。

工事 規模の基準
建築物の解体床面積の合計 80㎡
建築物の新築・増築床面積の合計 500㎡
建築物の修繕・模様替等(上に当たらない新築工事等)請負代金の額 1億円
建築物以外の解体・新築工事等請負代金の額 500万円

同じ人が2つ以上の契約に分けて請け負った場合は、1つの契約とみなして判定します。正当な理由に基づいて分割したときを除きます。母屋と離れを別契約にしたから両方80㎡未満、という整理は通りません。

建築物除却届を出すのは施工者

こちらは建設リサイクル法と提出者が逆になります。建築基準法15条1項は「建築主が建築物を建築しようとする場合又は建築物の除却の工事を施工する者が建築物を除却しようとする場合」と定めていて、除却側の義務者は施工者です。

床面積の合計が10㎡以内なら不要、というただし書きが付いています。10㎡ちょうどは不要で、10㎡を超えたら必要です。

解体工事の届出を解説したページの中には、この除却届の提出者を施主と書いているものがあります。条文と合いません。

石綿は「調査」と「報告」で規模の扱いが違う

事前調査そのものは、規模にかかわらず必要です。石綿障害予防規則3条1項は、解体または改修の作業を行うときは、あらかじめ石綿等の使用の有無を調査しなければならない、と定めています。面積や請負金額の条件は付いていません。

規模が出てくるのは報告のほうです。

工事 報告が必要になる基準
建築物の解体工事対象部分の床面積の合計 80㎡以上
建築物の改修工事請負代金の額 100万円以上(税込)
工作物(厚生労働大臣が定めるもの)の解体・改修工事請負代金の額 100万円以上(税込)
船舶(総トン数20トン以上の鋼製船舶)―

こちらも分割契約は1つの契約とみなします。

調査は原則として、厚生労働大臣が定める知識を有する者に行わせなければなりません。自社で有資格者を抱えている会社が多い一方、分析が必要になった場合は分析会社に出すこともあります。

報告先は2か所だが、報告は1回で済む

事前調査の結果は、石綿障害予防規則に基づいて労働基準監督署へ、大気汚染防止法に基づいて都道府県等へ報告します。宛先は2つですが、石綿事前調査結果報告システムを使えば1回の操作で両方に報告できます。

このシステムを使うにはGビズIDでログインします。現場ごとにアカウントを回す運用にはなじまず、アカウントを持っている人が席にいないと止まります。

入力そのものは、慣れれば難しくありません。ただし項目が多く、建物の構造、部位ごとの材料の有無、判断の根拠、調査した人の氏名まで入れていきます。1件あたりの手間は「難しい」ではなく「長い」に寄っています。難所がないぶん、後回しにされやすい作業でもあります。

様式は自治体ごとに違う、見るべきは項目

複数の県にまたがって工事をしている会社ほど、様式の違いが効いてきます。同じ建設リサイクル法の届出でも、自治体ごとに書式が用意されていて、添付を求める図面や写真の指定にも幅があります。

ただし、実務の感覚としては、フォントが違う、罫線がずれている、といった見た目の揺れで突き返されることはほとんどありません。受け付ける側が見ているのは、その自治体が求める項目が埋まっているかどうかです。

つまり、揃えるべきは体裁ではなく項目です。県をまたぐ会社が持つべきなのは「県ごとのExcelファイル」ではなく「どの県が何の項目を求めるか」の一覧のほうで、そこさえ持っていれば様式が変わっても書き写す先が変わるだけになります。

届出書の印刷イメージです。青は案件やマスタから来た値、黄はこの画面で入れた値、点線はまだ空の欄
届出書の印刷イメージです。青は案件やマスタから来た値、黄はこの画面で入れた値、点線はまだ空の欄

項目が案件の側にあれば、様式に向かって書くのは、その様式にしかない欄だけになります。

保存しなければならない記録と年数

出して終わりではありません。年数が定められている記録があります。

記録 根拠 保存期間 起点
事前調査・分析調査の記録石綿則3条7項3年間調査終了日
石綿使用建築物等解体等作業の記録石綿則35条の23年間作業を終了した日
石綿等の粉じんを発散する場所での常時作業の記録石綿則35条40年間その作業に従事しなくなった日
交付した産業廃棄物管理票の写し廃棄物処理法施行規則8条の21の25年間交付した日
送付を受けた管理票の写し廃棄物処理法施行規則8条の265年間送付を受けた日

40年は書き間違いではありません。石綿による健康障害は発症までが長いため、労働者ごとの作業記録だけ桁が違います。会社の保存年限を一律5年で決めていると、この1行だけが外れます。

再資源化等が完了したときは、元請業者が発注者へ書面で報告し、実施状況の記録を作成して保存します。この記録を作らなかった場合、10万円以下の過料が定められています。

工事が終わったあとの手続き

建物が滅失したら、滅失の日から1か月以内に建物の滅失の登記を申請します。申請するのは表題部所有者または所有権の登記名義人で、施主側の手続きです。

ただし取り壊した日を正確に知っているのは施工した側です。滅失証明書や取毀証明書を求められることが多く、施主が動くには元請からの書類が要ります。自社の義務ではないものの、自社が動かないと始まらない手続きという位置づけになります。

登記が済まないと、存在しない建物に固定資産税がかかり続けます。

ライフラインの停止

法令に基づく届出ではありませんが、着工前に済ませておく連絡があります。電気、ガス、水道、電話とインターネット、警備の契約です。

ガスは閉栓の立会いが要ることがあり、日程を押さえるまでに時間がかかります。水道は解体中の散水に使うため、止める順番が他と違います。法定の届出ではないぶん誰の担当か曖昧になりやすく、施主がやっているつもり、元請がやっているつもり、で残るのがこの部分です。

届出が要らないケース

規模や場所の条件で、必要にならないものがあります。

都道府県知事等が定めるので、同じ市内でも区域によって変わります

要否の判断そのものが記録に残っていないと、あとから「なぜ出していないのか」を説明できません。出さない判断をしたときこそ、根拠を書き残しておく場面です。

よくある間違い

罰則の金額

解説記事の中には、建設リサイクル法の届出違反を「50万円以下の罰金」と書いているものがあります。条文では違います。

違反 罰則 条文
10条1項・2項の届出をしない、虚偽の届出をした20万円以下の罰金51条1号
10条3項の変更命令に違反した30万円以下の罰金50条1号
登録を受けないで解体工事業を営んだ1年以下の拘禁刑 または 50万円以下の罰金48条1号

50万円は無登録営業の罰則です。届出の話に別の条文の数字が入り込んでいます。

分割すれば基準を下回るという整理

建設リサイクル法も石綿の報告も、同一の者が2つ以上の契約に分割して請け負った場合は1つの契約とみなす、と明文で定めています。

罰金の金額が痛いという理解

20万円という額そのものより、着工が止まることのほうが響きます。期限は起点から逆算して決まるので、気づいた時点で7日または14日を確保できなければ、工程を後ろにずらす以外に方法がありません。

漏れるのは知識ではなく引き継ぎ

届出の存在を知らない現場監督は、まずいません。それでも実際に起きるのは、こういう形です。

新しく現場を任された担当者が、届出を1件出していませんでした。前任者は毎回出していたので、誰も確認しませんでした。着工が遅れ、その分だけ工期が伸びました。

知識の問題ではなく、段取りが個人の頭の中にしかなかったことの問題です。前任者にとっては出すのが当たり前すぎて、引き継ぎ事項として言葉になっていませんでした。

多くの会社が、現場ごとにExcelを開いて同じ項目を打ち直しています。住所、構造、床面積、工期、発注者名といった項目です。届出の様式が変わるたびに、同じ情報をもう一度打ちます。この打ち直しが多いほど、「どれを出してどれを出していないか」が手元から見えなくなります。

出すべきものの一覧は、この記事のような形で外から持ってこられます。持ってこられないのは、いま動いている現場ごとに、何が済んで何が残っているかのほうです。そこが見えていれば、担当が代わっても落ちません。

案件一覧。引き合いから完工までを一列に並べ、石綿の報告要否と経過日数のバッジが出る
案件一覧。引き合いから完工までを一列に並べ、石綿の報告要否と経過日数のバッジが出る

根拠にした一次情報

届出書も石綿の記録も、元は同じ工事の情報です。解体BASEは、案件に一度入れた住所・構造・面積・工期から書類を起こします。仕事を受けるたびの手数料は0円、月額30,000円(税抜)です。

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